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今年の有馬記念では、「外厩帰りのフレッシュさ」と「持続力勝負に対する適性」の2つが重要になると考えます。
これは以下の2つの理由からです。

1.高速決着の天皇賞秋と、重馬場のなか行われたJCを連戦した馬は、放牧明けでも万全の状態で出走することは難しい
冬の中山芝2500mは、東京の高速馬場よりもずっとスタミナが問われます。そのため、18年キセキのように、秋3〜4走目となる使い詰めの馬は余力が残っていません。古馬なら天皇賞秋からの放牧明けが理想で、次は疲れがケアされた海外遠征組。菊花賞を経由した3歳馬の活躍が目立つのも、放牧先で十分な時間を充電に充てられるからでしょう。
2.アエロリットとキセキが出走する
この2頭が出走すると中盤が締まる流れになりやすく、18年ジャパンCや19年安田記念・天皇賞秋では、高速馬場も相まってとんでもないタイムが記録されました。必然的にハイレベルなレースとなり、フレッシュさのない馬は最後の直線で伸びきれません。スローの瞬発力戦ではなく、キセキまたはアエロリットが出ていたレースでの好走歴を評価するべきです。
1と2が合わさる今年の有馬記念において、とにかく元気な馬を重視するという方向性は間違っていないかと。
加えて、この秋好調の「ノーザンFしがらき育成馬」を「ノーザンF天栄育成馬」よりも上に取ります。

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◎Eリスグラシュー
○Jキセキ
▲Hアーモンドアイ
△Aスワーヴリチャード、Dフィエールマン、Iサートゥルナーリア、Mヴェロックス

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 ◎リスグラシューは12月3日にノーザンFしがらき(滋賀県)から帰厩。同馬には、「中5週以下の在厩調整」が2回続くとパフォーマンスを落とす傾向があります。ローズS→秋華賞からの臨戦だった17年エリザベス女王杯で凡走し、府中牝馬Sからの臨戦だった18年エリザベス女王杯では力を発揮できた例が分かりやすいと思います。逆に「中6週以上の休み明け」ではめっぽう強く、これまで3着を外したことがありません。まさに、”放牧明けの申し子”と言えます。宝塚記念ではキセキの作った流れで圧勝と、グランプリ適性は十分。有終の美を飾れる仕上がりにあると判断しました。

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 ○キセキは11月21日に吉澤ステーブルWEST(滋賀県)から帰厩。以前は東京ベストの印象が強かったのですが、19年に入って大阪杯→宝塚記念でIDM76→77と素晴らしいパフォーマンスを残しています。先述の通り、昨年の有馬記念は秋4走目で厳しいコンディションでした。加えて、当日はタフな外差し馬場でした。その状況下での6着(IDM73)は評価でき、海外遠征明けではありますが、放牧効果を見込める今年は前進が見込めます。ノーザンF全盛の時代ですが、角居厩舎×吉澤ステーブルWESTという”西の名門タッグ”の調整力を信頼して対抗に。

 ▲アーモンドアイはこの秋は1戦のみと余力充分。11月21日にノーザンF天栄(福島県天栄村)から帰厩しています。しかし、熱発で香港遠征を回避してからは在厩調整。実績は疑いようがないものの、「フレッシュさ」の面からは推奨できません。それでも、「キセキとアエロリットが出走するレースでの強さ」は群を抜いているので、本質的に合わない中山芝2500mでも好走可能とみて3番手に評価します。

 △サートゥルナーリアは11月22日にノーザンFしがらき(滋賀県)から帰厩。皐月賞と神戸新聞杯の内容から、レース間隔が空くほど力を発揮できるタイプと判断できます。敗れた日本ダービーと天皇賞秋は、ともに「間隔が詰まった東京コース」だっただけに、今回の臨戦過程と中山コース替わりがプラスに働きます。締まった流れへの対応力は未知ですが、ポテンシャルを考えて押さえ評価に。

 △スワーヴリチャードは天皇賞秋→JC→有馬記念の臨戦はマイナス。それでも、中間にノーザンFしがらきへの短期放牧を挟んだことには好感が持てます。ジャパンカップではチークピーシーズを着用し、リングハミへの馬具変更もありました。この結果、集中力がアップし、今までは見られなかった馬場の内から差す競馬が可能に。この成長を評価し、宝塚記念の3着時にキセキのペースを経験していることからも、買っておきたい一頭です。

※月刊誌等では◎サートゥルナーリアと出しましたが、枠順や馬場を考慮して印を入れ替えています。その点は、ご了承ください。




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